ギルドウォーズ2は、いうまでもなく初代ギルドウォーズ(GW1)の続編です。
ArenaNet は GW1 の成功と失敗から何を学び、何を考えたのでしょうか。
今回は少しだけ、その歴史を紐解いてみようと思います。
たまにはこんな記事を書くのも面白いですね。
こじょのGW1は 2011年頃に終了したのでそれ以前の歴史です。
予めご了承ください!
Syncing RA
GW1 は、MMO の一般的なパラダイムである、タンク、ダメージディーラー、ヒーラーで成立する戦闘モデルを採用していました。GW2 では そこから離れて、ヒーラーを廃止するという大きな決断が為されました。
その一因であろう出来事があります。
RA とは
RA は Random Arena(ランダム アリーナ)の略です。
GW1における PvP コンテンツの 1つであり、参加を表明したプレイヤーがランダムに 4vs4 にマッチングされるデスマッチ形式のゲームです。
完全にランダムなので、デスマッチのキーとなるヒーラーの存在もランダムです。
両方にヒーラーがいる、もしくは両方にヒーラーがいないなら、プレイヤースキルの総合力が勝敗を決めるでしょう。
片方にしかヒーラーがいない場合。
ヒーラーがいるチーム有利とはいえ、敵味方のプレイヤースキルには必ずバラつきがあり、ヒーラーのいないチームにもチャンスがあります。敵を殺しきるに十分な DPS、敵の DPS を抑えるアンチメレー、アンチキャスター、敵のヒールを抑えるアンチヒーラー。役割にふさわしいビルドを経験豊かな PvPer が操るとき、ヒーラーを抱える敵チームを破ることさえできます。むしろそれが、RA の醍醐味といっても過言ではありませんでした。
あるいは、運良く味方にヒーラーを抱えたとき。DPS は敵のアンチヒーラーから殺すことを心得ており、ヒーラーは敵チーム構成のカウンターとなる味方を重点的にヒールします。そうして当たり前のように勝ち、当たり前のように 10連勝して解散する。それもまた楽しいひと時でした。
変遷
サービス開始から数年経過し、ゲームが成熟してヒーラーの存在がより重要になった頃。マッチング直後、ヒーラーが味方にいないと、試合が始まる前にゲームを離脱するプレイヤーが目立ち始めます。「ヒーラーがいなければ勝てるわけがない、時間の無駄である」そう考えてしまうのは、少し勝てるようになってきた初級者~中級者に多い傾向でしょうか。1人が抜けたあと、3人になったチームに勝ち目はなく、結果的に成立しない試合が増えることになりました。
ArenaNet はしばらくこれを放置していましたが(GW2 の開発に忙しかったのだと思いましょう)のちに、試合が終わる前にゲームを離脱する行為にペナルティが課されるようになりました。しかし、決定的な対抗策にはなりませんでした。
やがて、さらに悪質な行為が考案されます。それが Syncing RA です。
Syncing RA
Syncing RA とは、ランダムにマッチングされるはずの RA において、予めビルドをコーディネートしたプレイヤー 4人が(もちろんヒーラーが含まれます)、同じチームになるよう参加タイミングを意図的に合わせること(Syncing)を指します。これはシステムの穴を突いた行為であり、いったん ArenaNet は対策を施しましたが、完全に排除することはできませんでした。
GW1には Team Arena(チーム アリーナ: TA)という PvP コンテンツがありました(のちに Codex Arena に置き換えられました)。TA では、予めチームを組んだ状態でマッチングに参加できます。ビルドをコーディネイトした 4人ならば TA で遊べばよいのに、勝ちやすいという理由で Syncing RA を選択するのです。弱いと分かっている相手としか戦わないなんて、本当に情けないことです。
ArenaNet の答え
GW2 の PvP デザインには、以上の問題への ArenaNet の答えが込められています。
ヒーラーの廃止
一つ目は、ヒーラーの廃止です。
GW1 の RA では、実は両チームにヒーラーのいない 4vs4 のバトルが最も楽しかった、という想い出があります。これをシステム的に昇華したのが、ヒーラー廃止、ビルドにセルフヒール枠を固定化というデザインです。ヒーラーを巡るすべてのネガティブ要素が排除され、デメリットを上回っていると、こじょは思います。
Hot-Join
二つ目は、Hot-Join の導入です。
ゲームを途中で離脱する行為に対して、より厳しいペナルティを課すのではなく、むしろシステム的にそれを補助するという方向性は素晴らしいと感じます。しかし現状は、数的不利を上手く調整できておらず、プレイヤーとしては不満のある実装といえそうです。
コンクエスト
最後に、デスマッチの不採用です。
GW2 の PvP では、敵を殺すことよりも、拠点制圧の駆け引き、素早い戦局の判断、勝利への戦略が重要視されます。
GW2 の PvP プレイヤーから熱い要望を受けているにも関わらず、シンプルにデスマッチを楽しむコンテンツがないのは、やはり GW1 の苦い経験を払拭する決定打を生み出せていないからではないかと思います。
デスマッチが恋しい気持ちはあるものの、素直に導入したのでは容易に未来が見えてしまいます。
ArenaNet の慎重な姿勢も理解できます。
次回予告
さて次回は、知る人ぞ知る、GW1 の黒歴史、RR を回想します。
お楽しみに!(?)

Guild Wars 2 情報同カテゴリの前後記事
Commentあなたのコメントをぜひ書き残してください!
せんせ~。自分が放置する前に、sPvPにマグーマジャングル風な新しいマップが追加されてました。
あん時は純粋にキルを取るマップでしたが…。
自分はここんところの猛暑でPCが謂うとこ聞いてくれんですばい
Trackback あなたのウェブページをリンク!
Trackback URL |